国の建物から商業施設や住宅まで、さまざまな施設から依頼を受け、四国の電力インフラを支え続けている四国機電産業。非常用発電機という「災害時・停電時に絶対に動かなければならない命綱」を守り続ける同社を率いるのは、料理の道から未経験で飛び込み、いち社員から3代目社長に就任した川西和行社長です。
社員インタビューでも口々に語られた「社長にもフラットに意見が言える風通しの良さ」と、「プロとしての誠実さ」。その根幹には、現場の酸いも甘いも知り尽くしたたたき上げ社長の、並々ならぬ社員への愛情とインフラを守る哲学がありました。
血縁ではない絆で、想いと哲学のバトンをつなぐ

――21歳のときに料理の道から未経験で入社されたと聞きました。
高校は工業高校でしたが、卒業後は料理の世界に進み、和食の料理人として包丁をふるっていました。しかし、飲食店は土日や夜が稼ぎどき。まだまだ若かった私は、「友達と遊べる昼間の仕事がしたい」と思うようになったんです。そんなとき、料理人同期の藤澤が「四国機電産業に行かないか」と誘ってくれました。二人とも工具の使い方やエンジンについてはまったくの素人でしたが、一緒に転職し、藤澤は今営業保守部の部長をしてくれています。
当時の当社は、職人気質で仕事に厳格な創業者・平田社長と、社員の育成に徹底して寄り添う、後に2代目社長になる宮崎が引っ張っていました。実は2代目の宮崎も創業者と血縁関係のないいち社員からの社長就任で、私自身も非同族の3代目社長ということになります。
※藤澤部長の記事はこちら
――同族経営ではないなかで、歴代の社長からどのようなことを受け継いだのでしょうか?
初代の「仕事に対する一切の妥協を許さない厳しいプロ意識」、2代目の「不器用でも真面目な人間なら、いつか必ずみんなと同じステージに上がれると信じて育てる姿勢」、私はその両方の背中を見て育ちました。
だからこそ、私自身も社員には嘘をつかないプロの仕事を求めますし、その代わり、社員が陰で愚痴をこぼさなくて済むよう、私から積極的に声をかけて心を開いて接することを大切にしています。血縁ではなく、そういった想いや哲学がバトンとして繋がれているのが、当社の誇りですね。
雪山を3時間登る社員も。国から表彰された「看板を守る」矜持

――四国機電産業が扱う非常用発電機は、社会にとってどのような役割を持っていますか?
非常用発電機は、病院のICUの生命維持装置や、避難所となる施設の空調、そして地域の通信網などを災害時・停電時も変わらず動かすための、いわば最後の砦です。普段は動かないことが一番ですが、いざというときに確実に動かなければ人命に関わります。
15年ほど前、大きな台風が来て、徳島の山奥にある雨量レーダー基地局の電線が切れたことがあります。そのとき、当社が整備した発電機が、2か月間動き続けて基地局を支えたんです。社員みんなでトラックに燃料を積んで山に入り、現場で雑魚寝の泊まり込みをしながら燃料を補給し続けました。「自分たちの仕事が地域の安心を支えているんだ」という手応えを、骨身に染みて感じましたね。
別の雪山にある雨量レーダーが故障した際には、車が入れないほどの積雪のなかで現場に向かってくれた社員もいます。彼はリュックサックに工具を詰め、膝まである雪のなかを3時間かけて山頂まで歩いて登り、見事に修理の段取りをつけてくれたんです。この奮闘は、国土交通省から表彰していただきました。
彼がここまでしてくれたのは、「四国機電産業の看板に泥を塗れない」「インフラを守るんだ」という強い使命感があったからとのことでした。社長として、これほど嬉しく頼もしいことはなかったですね。
――お客様から「四国機電産業にお願いしたい」と指名されることも多いとか。
私たちが大切にしているのは、売りたいものを売るのではなく、お客様にとってのベストを考える姿勢です。私は日頃から社員に「自分の15分の余分な働きでお客様の困り事が解決するなら、積極的に助けてさしあげよう」と伝えています。見積もりに入っていなくても、そのちょっとした気遣いが、次の仕事や大きな信頼に繋がることを知っているからです。
――社員の皆さんへのインタビューでも、「わからないことをわかったふりしない」「嘘をつかない」という言葉が何度も出てきました。
それがこの仕事で一番大切なことだからです。私たちが、ネジを1本締め忘れたり、「まぁ良いか」と手抜きをしたりすれば、非常時に発電機が動かず、最悪の事態を招きます。だからこそ私は、仕事の器用さよりも、嘘をつかない、誤魔化さないという人間的な誠実さを重視しています。
また、会社の利益は現場の人間だけで出しているわけではありません。会社を支えてくれる事務員たちも含め、全員が真面目に、誠実に連携しているからこそ成り立っています。だからこそ、部署や職種に関係なく、頑張って利益が出たときは、全社員にしっかりと還元することを経営の信条にしています。
技術よりも前に人間力を育てる「親心」

――資格取得支援や、子どもの行事などに使える10日の「特別有給」など、社員を大切にする制度が充実しています。その背景をお聞かせください。
私が社長になって最初に見直したのが、資格取得の支援でした。以前は、試験に2回落ちたら以降の受験費用は自腹というルールがあったのですが、「会社の仕事に必要な資格を取ってもらうのにそれは違う」と思い、全額会社負担に。さらに合格時の一時金制度も新設しました。今では、みんな自主的にどんどんチャレンジしてくれます。有資格者が増えることで取り扱える工事の幅が広がり、社員はさらにキャリアアップでき、好循環が生まれています。
また、月に1回、業務時間内に、外部講師を招いた政治・経済の勉強会を実施しています。若いころは政治や経済に興味がないかもしれませんが、10年、20年後に40代になったとき、世の中の情勢をまったく知らないままでは、お客様と対等に話すことができません。技術を磨くのはもちろんですが、大人としての教養やコミュニケーションの引き出しを持ち、「四国機電産業の社員は一味違うな、人間として魅力的だな」と思ってもらいたい。親心とでもいうのでしょうか、そんな気持ちから始めた取り組みで、もう長く続いています。
――今後の展望と、求職者へのメッセージをお願いします。
私は現在53歳。60歳で社長を退任し、次世代にバトンタッチしようと考えています。そのためには、みんなが「自分が次の社長を務めたい!」と思えるような、社員が同じ方向を向いて輝ける「良い会社」を作り続けなければなりません。
私がこれからの採用で求めるのは、即戦力となる人材ではなく、人としての基本が備わっている方です。人の悪口を言わない、嘘をつかない、目の前で人が倒れていたら迷わず助けられる、そういった真面目さ、誠実さがあれば、技術は後から必ずついてきます。
実際私も元料理人ですし、今の若手社員でも、最初は工具の名前もわからない新人だったところから、手帳にスパナやレンチなど工具の絵を描いて一生懸命覚え、今では立派な戦力になった者もいます。前職が何でも、不器用であっても構いません。四国のインフラと人々の命を陰ながら支えるこの仕事に誇りを持ち、私たちと一緒に未来を創ってくれる方のご応募を、心からお待ちしています。