病院や公共施設、通信基地局などで、停電時・災害時も機能が止まらないよう備えるための非常用発電機。その点検・修理を担うのが四国機電産業の営業保守部です。同部署を牽引する藤澤康弘部長は、30年にわたり現場を支え続けてきたスペシャリストでありながら、「現場で困ったら、いつでも私に電話してくれば良い」と笑う、部下想いの上司でもあります。
そんな藤澤部長が考える、未経験からプロを育てる育成哲学や、現場で本当に活躍する人材の条件とは。リーダーを目指す方や、未経験からの転職に不安を抱える方にぜひ読んでいただきたいインタビューです。
マネージャー職で得た「次の仕事に繋げる」視座

――現在の業務内容と、営業保守部の体制について教えてください。
非常用発電機の点検・メンテナンスを行う部門の部長として、本社にいる5名と、愛媛営業所の2名、計7名の部下を統括しています。部長といえど、事務所でずっと管理業務をしているわけではなく、プレイングマネージャーとしてほとんど毎日現場に出ています。
部下に同行して現地フォローをしたいのですが、2営業所を管轄しているため、最近はなかなか時間が取れないことも多く、普段は電話で密にコミュニケーションを取るようにしています。もちろん、どうにもならないトラブルが発生したときには、すぐに現場に駆けつけて一緒に解決します。
――プレイヤーだったころと役職に就いてからとで、仕事に対する視座はどのように変わりましたか?
いち社員のころは、「与えられた目の前の仕事を終わらせれば完了」と、気持ちの区切りがありました。しかし、役職に就いてからは、一つひとつの仕事を次の仕事にどう繋げるか、自然と考えるようになりました。
例えば、点検に伺ったお客様の発電機がかなり老朽化していたとします。プレイヤーなら「今回は修理で直しました」で終わるかもしれませんが、マネージャーの視点では「このまま修理を続けるのがお客様にとって本当にベストだろうか?新しいものに更新したほうがランニングコストが下がるのではないか?」などと考えるのです。会社全体の売上や、お客様との長期的な信頼関係の構築を見据えて動くようになったということですね。
「見て覚えろ」は自分の代で終わらせる

――未経験の新入社員をプロに育てる上で、どのような指導方針をとっていますか?
私がこの業界に入った30年前は、「先輩の背中を見て覚えろ」という指導が当たり前の時代で、分からないことがあっても上司には聞きづらい雰囲気がありました。部下には私と同じ気持ちにはなってほしくありません。昔とは時代が違いますから、順序立ててしっかり教える体制をつくって、まずは自分でやってみてもらいます。自分で考えて行動した結果の失敗であれば、私は叱りません。
大前提として、怪我をする危険があることや、設備を完全に壊してしまうような致命的な行為は、事前に必ず止めます。しかし、リカバリーできる程度の失敗であれば、あえて先回りした口出しはせず、本人の考えでやってもらうんです。失敗も成功も、身をもって体験したほうが圧倒的に早く深く仕事を覚えられますから。逆に、失敗を恐れて萎縮してしまい、分からないことを隠したり、挑戦しなくなったりすることのほうが、成長にとってマイナスだと考えています。
――一人前になるまでに、どれくらいの期間がかかりますか?
大体1年から3年くらいですね。最初のうちは先輩と2人1組で現場を回り、基礎を身につけてもらいます。今は携帯電話があるので、一人で現場に行けるようになってからも、電話越しに状況を聞きながら遠隔でサポートできます。
成長のスピードは人それぞれなので、むやみに急かすことはありません。大切なのは、この仕事に興味があるかどうかです。興味さえ持っていれば、自然と技術は身についていくので、年単位でじっくりと育てていくスタンスを取っています。
現場で活躍する条件は「素直にSOSを出せる力」

――現場で活躍し、周りから信頼される人材に求められる力は何だと思いますか?
間違いなくコミュニケーション能力ですね。言い換えると、現場で自分一人では解決できない壁にぶつかったときに、抱え込まずに素直に「助けてください」「教えてください」とSOSを出せる能力のことです。
この仕事は、技術が完璧でなくても、助けてくれる先輩や協力会社さんが周りにたくさんいます。そういう支援者とのネットワークをつくれる方、つまり素直に周囲を頼れる方が現場では一番強いんです。
――若手がSOSを出しやすいように、上司として気を付けていることはありますか?
部下が現場で途方にくれてしまわないよう、いつでも電話しやすい、相談しやすい雰囲気をつくるよう心がけています。現場からの電話に「そんなことも分からんのか!」などと怒れば、部下は次から電話をかけてこなくなり、その場しのぎの工事をしてしまうでしょう。それは、非常用発電機を扱う当社において、絶対にあってはいけない事態です。だからこそ、どんな相談でもまずはフラットに聞き入れ、萎縮させない受け答えを徹底しています。
また、仕事の責任感についても、口で「最後まで責任を持つように」と言うだけでなく、私自身が責任を持ってやり遂げる背中を見せることで、言葉と行動を一致させるように心がけています。
求めるのは「機械への興味」と「仲間を引っ張る覚悟」
――四国機電産業でキャリアアップし、リーダーを目指す方に求められることは何でしょうか?
自分の目の前の仕事だけでなく、会社全体を見渡す視野を持つことです。部下や後輩が「今、何に行き詰まっているのか」を常に気にかけてあげてください。
もう1つ、原則に反することに対して「ダメなものはダメ」としっかり言える強さを持つことです。優しく教えることと、ルールをなあなあにすることは違います。命に関わるインフラを守る仕事だからこそ、譲ってはいけない一線は、毅然とした態度で指導できる方が、これからの組織を引っ張っていくリーダーになると思います。
――この記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします。
非常用発電機の故障している箇所を特定し、メンテナンスする。自分の知識と技術によって発電機が再び力強く動くようになる。この瞬間は部長になった今も、何度経験しても純粋にすごく楽しく嬉しいものです。このメカ的な手応えや、自分たちの手で直したものが社会インフラを支えているという誇りは、この仕事でしか味わえない最高のやりがいです。
未経験でも、機械いじりや原因究明が好きで、自分の手で完成させる楽しさに共感できる方には、当社はいきいきと活躍できる環境です。焦らずじっくりと教えていくので、安心して飛び込んできてください。